サクッと業務改善!カルビー北海道工場に学ぶ「現場起点」で始めるDX推進のコツ(カルビー株式会社様)

2025-06-11
2025-06-11
サクッと業務改善!カルビー北海道工場に学ぶ「現場起点」で始めるDX推進のコツ
(左から美山氏、花田氏)

「やめられない、とまらない♪」のCMでおなじみのカルビー株式会社は、全国に17の工場を展開しています。その中核を担う北海道工場の経理担当では、見積書や請求書の内容を社内システムへ手作業で入力する業務に、多くの時間とストレスがかかっていました。この課題を解決するために導入されたのが、Excelアドイン型の自動転記ツール「ジーニアルAI OCR」です。

今回は、DX・S&OP推進本部DX推進部の美山氏と、実際にツールを活用して経理業務のDXに踏み出した北海道工場生産支援課の花田氏にお話を伺いました。現場の声から出発し、成功体験を積み重ねて自然に広がっていく。そんなカルビー流のDX推進には、これから取り組もうとする企業にとって、大きなヒントが詰まっています。

※ こちらの音声は、Google NotebookLM によって AI が生成したものです。そのため、発音や内容が正確でない場合があります。

本部と現場が一緒に取り組むDX

燻じゃが
(燻じゃが)

― まずは、カルビー北海道工場についてご紹介いただけますか。

美山:北海道工場では、「ポテトチップス」「堅あげポテト」「じゃがポックル」などを生産しています。北海道産のじゃがいもを使った商品が多く、カルビーの主力商品を支える重要な工場です。現在は約280名が勤務しています。

花田:ご予約いただいたお客様が参加できる工場見学もあります。「じゃがポックル」と「ポテトチップス」の製造工程をご覧いただけます。お客様から特にご好評をいただいているのは、できたての「じゃがポックル」と「ポテトチップス」の試食ができることです。北海道工場だけでしか体験できないので、多くのお客様にとても喜ばれています。

― 北海道ならではのおすすめ商品はありますか。

美山:北海道産のじゃがいもをじっくりフライして、オークチップでしっかり燻製したポテトチップス「燻じゃが」は一押しです。袋を開けた瞬間にウイスキーオークの香りがふわっと広がるんです。ザクザクした堅めの食感と、うす塩味のバランスが絶妙で、ビールにもぴったりですよ。

― お二人のご担当業務について教えてください。

美山:私はDX・S&OP推進本部に所属し、海外も含めた全社の業務改革や効率化を支援する立場にいます。現場の社員と日々コミュニケーションを取りながら、「この業務、何とかならないかな」という声に耳を傾け、最適なツールやアプローチを提案するのが役割です。さまざまなソリューションを自ら研究して、「こんな方法がありますよ」と現場に届けるのが私のスタイルです。

花田:私は北海道工場で経理業務を担当しています。発注書の作成や請求書の処理、契約書関連の業務を幅広く担当しています。

― 美山さんがこれまでに手掛けたDX事例には、どんなものがありますか。

美山:ある工場では、ベルトコンベアで流れてくる段ボールを人の目で確認して、手作業で振り分けていたんです。人手不足の中、ずっと立ちっぱなしで確認するのは負担が大きくて、ミスも起きやすい状態でした。そこで画像処理を活用して、段ボールの内容を自動で振り分けできるようにしました。

― DX・S&OP推進本部と情報システム部門はどう役割分担されていますか。

美山: 情報システム部門は、基幹システムやインフラといった、全社ITの統制・基盤構築を担っています。一方で、私たちDX・S&OP推進本部は「攻め」の役割。現場の業務改革や新しいツールの導入を通じて、業務の進め方そのものを変えるのがミッションです。情報システム部門と連携し、現場に近い立場でスピーディーに動ける体制を整えています。

「めんどくさい」がきっかけ!現場の声から始まった業務改善

「めんどくさい」がきっかけ!現場の声から始まった業務改善

― 北海道工場では「ジーニアルAI OCR」導入前、どのような課題があったのでしょうか。

花田:見積書をもとに発注書を作成する作業が、とにかく神経を使う業務でした。たとえば、8桁や10桁の見積書番号や金額があり、それを1件ずつ目で見てExcelに手入力していくんです。数字を打ち間違えるようなケアレスミスもありました。こうしたミスは取引先にご迷惑をかけかねませんので、入力中はずっと緊張状態。社内稟議が通ったらすぐに発注書を出さなければならないため、プレッシャーも大きく、本当にストレスのかかる作業でした。

美山:実はこの話、花田から「この作業がめんどうなんです」と、軽く相談されたのがきっかけでした。私からすると、その「めんどう」ってすごく重要なサインなんです。現場で「これがやりにくい」「負担だ」と感じている業務こそ、改善する価値があるからです。

― 請求書まわりの作業は、かなり手間がかかっていたのではないですか。

花田:はい、請求書処理は、とにかく作業量が膨大でした。月初になると30件近い請求書が一気に届きます。すべて内容を確認したうえで、請求書番号や金額、振込先などを社内の経理システムへ手作業で入力する流れになります。1件ずつ確認しながらの入力なので、ミスも許されませんし、何より時間がかかります。月初の2日間は、この作業だけで丸々潰れてしまうような状況でした。

美山:転記ミスへの注意だけでなく、作業時間の長さそのものが大きな負担になっていました。ツールでこれを軽減できるなら、それだけで現場に余裕が生まれ、雰囲気も変わるんです。

デモで手応えを得たことがスピード導入の決め手に

デモで手応えを得たことがスピード導入の決め手に

― 「ジーニアルAI OCR」を知ったきっかけは何だったのでしょうか。

美山:展示会で見かけたのが最初です。私は普段から、現場の課題に合うツールがあれば試すようにしています。そのときも、OCRツールをいくつか比較していて、ジーニアルAI OCRを含めて2~3種類は試しました。

― 比較検討の中で「ジーニアルAI OCR」が優れていた点は何でしたか。

美山:画像からでも文字を認識できる「AI-OCR機能」の精度が高くて、手書き文字の読み取り精度も圧倒的に良かったです。他のツールだと手書きの伝票はうまく読み取れなかったり、誤認識が多かったりしましたが、ジーニアルAI OCRはその点が群を抜いていました。「この価格帯でここまで認識できるのか」と驚きましたね。さらに、読み取った内容をマウスで選択してそのままExcelに貼り付けられる「クリップ機能」もあって、これなら現場でも十分に使えると実感しました。

― 北海道工場で花田さんの悩みを聞いていたからピンときたわけですね。

美山:はい。「ちょうどいいツールがあるよ」と紹介して、すぐ一緒に試しました。

花田:使ってすぐに「これ、使える!」と思いました。上司に相談して、1ヶ月後には正式に導入していました。

― セキュリティ面に不安はありませんでしたか。

美山:たしかに、請求書などの情報は機密性が高いので、セキュリティにはとても気をつかいます。今回は、Excelのアドインから操作できることもあり、心理的なハードルは低かったです。処理自体はクラウド上で行われていると理解していますが、導入前に情報システム部門にも確認し、問題なしという判断をもらい、安心して使い始めることができました。

「現場が変わる」成功体験がDXの連鎖を生む

「現場が変わる」成功体験がDXの連鎖を生む

― 実際に「ジーニアルAI OCR」を導入して、どのような変化がありましたか。

花田:まずは「ミスが減った」ことが大きいです。以前は請求書の数字を転記するとき、「03」と書いてあるのに「30」と打ってしまうとか、そういうヒューマンエラーが結構ありました。でもジーニアルAI OCRを使うようになってからは、そうした間違いがなくなりました。

― 作業時間の短縮効果もありましたか。

花田:はい。請求書の処理時間は、1件あたり約15分から約10分へと短縮されました。全体で2〜3時間分の短縮につながったと実感しています。これまで月初の2日間は請求書処理にかかりきりでしたが、時間にも気持ちにも余裕が生まれました。

美山:作業時間が短くなったことも大きな効果ですが、それ以上に「間違えないように常に気を張っている状態」がなくなったことが大きいと感じています。これは、いわば「ストレスの削減」です。精神的な負担が軽くなることで、仕事全体に対する前向きな姿勢にもつながっていきます。

― 「ジーニアルAI OCR」の導入効果について、周囲の反応はいかがでしたか。

美山:今回のように「自分たちの仕事が良くなった」と実感できる体験を一つでも持つと、他の現場にも「自分たちもやってみようか」という空気が生まれます。実は、花田の上司が、「自分で課題を見つけ、提案して、ちゃんと成果につなげてくれた。今はすごく前向きにいろんなことにチャレンジしてくれていて、本当に頼もしい」と、花田を非常に高く評価していました。こうした現場起点の変化が、結果として全社的なDXへとつながっていくことを期待しています。

― 「ジーニアルAI OCR」はどんな方におすすめできると思いますか。

花田:紙やPDFを見て手入力している方には、ぜひ使ってみてほしいです。本当に楽になると思います。

美山:ルーティンでのデータ転記に時間を取られている方、新しいことに挑戦したい方にとっても、最初の一歩として最適なツールだと思います。

DXは押しつけない!現場の会話から始まる変革のかたち

DXは押しつけない!現場の会話から始まる変革のかたち

― 現場からDXを広げていくために、どのような工夫をされていますか。

美山:私たちが大事にしているのは、現場の人たちが普段の業務で感じている違和感や小さな困りごとを気軽に話せる場をつくることです。そこからすべてが始まると考えています。

― 現場の声から変化が生まれると。

美山:まさにそうです。たとえば、われわれは毎年「アイデアソンワークショップ」というDXのワークショップを開催しています。工場や営業、マーケティングなどさまざまな部署からの希望者が参加できるもので、日常業務の中で感じている悩みや課題を出し合うところから始めます。このワークショップでは、仕事の中での困りごとを「ダンゴムシ」と呼び、その行く手をふさぐ阻害要因(=石)をどうやってどかすか、つまり「ダンゴムシをどう救出するか」を皆で考えていきます。これを、いろんな部署から来た参加者がワイワイと議論していくうちに、発想がどんどん広がって、とても良いアイデアが生まれることがあるのです。

花田:このワークショップには、「これってめんどうだな」と感じたことを気軽に口に出せる雰囲気があります。それを一緒に考え、解決しようとしてくれる仲間がいる。だからこそ、前向きにいろいろなことに挑戦してみようと思えるんです。

― 現場からDXの芽を育てているんですね。

美山:はい。上からツールを押しつけるのではなく、現場の気づきと会話から始める。その積み重ねが、カルビーのDXを根っこから支えています。

― 今後、どのような業務改革やDXを目指していきたいとお考えですか。

花田:現場では「多能工」を推進していて、誰が作業しても同じ品質を保てる環境づくりを進めています。「ジーニアルAI OCR」のようなツールは、業務の属人化を防ぐ意味でも有効だと感じています。

美山:私は「気づけばDXしていた」という状態を理想としています。私たちの本来の仕事は「美味しい商品を届けること」。その裏側で、自然とDXが動いているのが理想の姿です。DXは目的ではなく手段。ツールが「特別なもの」ではなく、当たり前に使われている状態を目指したいと考えています。

カルビー株式会社 北海道工場

カルビー株式会社 北海道工場
住所:北海道千歳市北信濃779−4
URL:https://www.calbee.co.jp/factory/hokkaido/

カルビー株式会社
住所:東京都千代田区丸の内1-8-3
創業:1949年4月30日
社員:(連)4,939名 (単)2,148名(2024年3月31日現在)
事業内容:菓子・食品の製造・販売
URL:https://www.calbee.co.jp

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