受領書とは?書き方、注意点、電子化のメリットについて解説

受領書とは?書き方、注意点、電子化のメリットについて解説

ビジネスシーンに限らず、日常生活においても商品の購入やサービスの提供によって、領収書や請求書など書類が発行され、受け渡しが発生します。受領書もその中の一つですが、さまざまな種類の書類が存在するため「書き方がわからない」「どのような役割があるのか?」といった疑問を抱いている人もいるでしょう。
この記事では、受領書の概要や役割、書き方や注意点について紹介していきます。また、電子帳簿保存法改正に伴い、受領書の保管方法がどのように変わるかについても解説します。受領書に疑問を感じている人はぜひ参考にしてみてください。

受領書とは

受領書とは、商品やサービスの提供、送付、支払、双方取引において、受け取ったことを相手に通知する書類です。ここでは、受領書の役割に加え、混合しやすい他の書類との違いについて説明します。

受領書の役割

受領書の用途は幅広く、配送業者が商品を顧客に届けた際の確認、商品の返品処理、サービス提供と支払いの確認、請求書の支払い確認などが含まれます。また、受領書は取引の透明性を高める効果だけではなく、法的な効力も持っており、トラブルが発生した際の証拠としても利用されます。したがって、受領書はビジネスシーンだけでなく、日常生活でも広く利用されています。

類似書類との違い

ビジネスや日常生活ではさまざまな書類のやり取りが発生しますが、受領書と混同しやすい他の書類には次のものがあります。

  • 納品書
    納品書は受領書と同様に商品やサービスの受け渡しの際に使用される書類ですが、商品の数量、品質、価格などの情報が異なります。また、商品やサービスに関する受領書は買い手から売り手に送られるのに対し、納品書は売り手から買い手に渡される点が異なります。
  • 領収書
    領収書は商品やサービスの支払い時に売り手から提供されるもので、商品やサービスの価格、支払額、数量、支払方法、日付などの情報が記載されています。領収書は支払いの証拠としての役割があるため、税金申告や会計記録などでも利用されます。
  • 検収書
    商品やサービスに関して買い手から売り手に発行される点では同じですが、受領書とは通知する内容が異なります。検収書は受け取ったことのみでなく、商品やサービスの種類、数量、内容などに不備がないか、また商品に傷などがないかを検査し、契約通りで問題がなかったことを証明する文書です。このため、検収書は品質管理やコンプライアンスの確認にも用いられます。

このように、各書類は記載内容や発行者が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

受領書の記載項目

商品やサービスに関する受領書の記載項目には次のものがあります。

項目内容
発行日受領書の発行日付を記載するもので、取引日や商品の受取日を示します。
発行元(買い手)の詳細情報商品やサービスを受領した個人または法人の名前や連絡先などの情報を記載します。
送付先(売り手)の情報商品やサービスを提供した個人または法人の名前や連絡先などの情報を記載します。
受領した商品やサービスの詳細情報数量や品名、品質や合計価格など、受領したものの詳細情報を記載します。
押印、署名またはデジタル署名発行元が押印または署名します。
記載項目

受領書の項目は取引内容や業界によって異なりますが、上記の項目は一般的な商品やサービスに関する受領書に含まれる可能性の高いものです。
作成に慣れていない人は難しく考えてしまいがちですが「いつ、だれが、何に、どのようにして」といった要素を考え、受け取った商品やサービスの内容と提供元、誰が受け取ったのかといった証跡を記録することをイメージすると理解しやすくなります。また、受領書のテンプレートはインターネット上に多数存在するため、自分に合ったものを探し、内容をカスタマイズして作成するのがおすすめです。

受領書の注意点

受領書に関する重要な注意点が以下に挙げられます。
これらの点について詳しく説明します。

  • 発行のタイミングと正確性
  • 収入印紙の要否の確認
  • 作成形式の確認

それぞれについて、以降で解説していきます。

1.発行のタイミングと正確性

受領書の発行タイミング(期限)は厳密に定められていませんが、商品やサービスを受け取ったら速やかに受領書を発行しましょう。これは、受領書を受け取る側との認識のズレによる問題を防ぐためです。また、受領書は法的効力がある文書であるため、記載内容の正確性が求められます。受領書に記載された条件(数量、価格、品質など)が取引条件と合致しない場合、修正が必要となります。また、受領書の発行が要求されない場合もあるため、事前に相手先と確認を行っておくことが重要です。

2.収入印紙の要否の確認

商品やサービスに関する受領書は印紙税の課税対象とはなりません。

しかし、お金や有価証券を受け取ったことを証明する受領書は印紙税の課税対象となります。この場合、取引金額等に基づいて収入印紙の要否が変わります。印紙を使用する場合、割印も忘れずに押印することを忘れないようにしましょう。

3.作成形式の確認

受領書の発行は紙媒体でも電子データでも可能です。受領書を発行する際には、相手がどの形式での提出を希望しているかを事前に確認しましょう。

受領書の保存期間と保存方法

受領書を受け取った側にとって、「どれくらいの期間保存すべきか?」や「どのように保管すべきか?」といった疑問が生じることがあります。ここでは、受領書の保存期間と保存方法について詳しく説明します。

受領書の保存期間

受領書は、発行が義務付けられていないため、具体的な保存期間は法的には定められていません。ただし、国税庁は納品書を含む「取引等に関して作成または受領した書類」の保存期間を「7年」と規定しており、受領書もこれに該当します。さらに、会社法においては見積書や請求書などの証憑書類の保存期間を「10年」としています。受領書も法的効果を持つ文書であり、トラブル時には証拠として活用できるため、受け取ったら適切に保管しておくことが重要です。

受領書の保存方法

紙媒体で受領書を受け取った場合、原則としては原本を保管する必要があります。ただし、特定の要件を満たす場合には、スキャンして電子データとして保存することも認められています。

また、電子データで受け取った受領書を紙媒体にして保管することは、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から不可となります。今後、ビジネス文書の電子化が加速していくと予想されるため、要件や対応方法について確認することが重要です。

受領書を電子化するメリット

受領書を電子化することには、以下のメリットがあります。

  1. 保管スペースの削減
  2. コストの削減
  3. データ検索による作業効率化
  4. リアルタイムでの受け渡し

1.保管スペースの削減

受領書を電子データで保管することで、物理的な保管スペースが不要となります。紙の受領書をファイリングし、ファイルキャビネットを確保する必要がなくなります。電子化により、ハードディスクやクラウド上でデータを保管でき、スペースの節約が可能となります。

2.コストの削減

紙媒体で受領書を作成する際には、印刷に必要なインクや用紙、ファイルやキャビネットなど、さまざまなコストがかかります。また、これらの業務を行うための人件費も必要です。受領書を電子化することで、これらのコストを削減でき、作業に従事していた人員を他の業務に配置できるため、生産性が向上します。

3.データ検索による作業効率化

受領書を電子化することで、データ検索が容易になります。紙媒体では受領書を手作業でファイリングし、時期や発行元ごとに検索する必要があり、手間がかかります。電子データであれば、データ検索が簡単に行えるため、時間を節約し、作業効率が向上します。

4.リアルタイムでの受け渡し

紙の受領書を受け渡す場合、郵送や手渡しといった方法を使用する必要があり、発送時間やスケジュールの調整が必要です。一方、電子化された受領書は即時に送信できるため、リアルタイムでのデータ交換が可能となります。

まとめ

受領書は、商品やサービスの提供を受けたことを通知する重要な書類です。商品の数量、金額、支払い方法などを記録し、取引の透明性を高め、トラブル時には法的証拠としても発揮します。
近年、電子帳簿保存法の改正やIT技術の進化により、受領書の電子化が進んでおり、これによってコスト削減や業務効率化、生産性向上にも役立っています。
受領書や他の会計書類の発行と電子化に悩んでいる担当者は、この記事で紹介した内容を参考にしてください。