検査成績書の重要性について解説!

検査成績書の必要性とは?

検査成績書は、製品の品質に問題がないことを保証するために必要な書類の一つです。ただし、検査成績書に類似した書類もいくつか存在するため、これらの違いを把握しておくことが肝要です。検査成績書とミルシート、これらの用語は製造業や金属加工業界に携わる者にとってなじみ深いものでありながら、その違いや具体的な内容について理解している人は少ないかもしれません。我々が手にする製品の品質を確保し、その信頼性を向上させる上で、これらの書類は極めて重要な役割を果たしています。

本記事では、検査成績書の必要性について解説し、類似した書類との違いに焦点を当てます。また、検査成績書に記載される内容については、具体例を交えながら詳細に解説していきます。製造業や金属加工業界における品質管理において欠かせない情報を手に入れ、スムーズな業務遂行に貢献できるようになりましょう。

検査成績書とは

検査成績書の必要性とは?

検査成績書は、製品の品質保証を確認するための品質管理書類の一つです。

検査成績書には、製品規格の遵守を示すために実施された校正の結果などが記載されています。製品ごとに異なる仕様が存在するため、同じ企業であっても共通のテンプレートやフォーマットは存在しません。従って、検査成績書には製品ごとに異なる内容が反映されています。事前に必要な情報が検査成績書に適切に記載されているか確認することが重要です。

検査成績書の目的

検査成績書の目的は以下の2つです。

  • 製品が規格を遵守していることを証明するため
  • 注文ロットに誤りがないか確認するため

検査成績書の目的は、製品が規格を遵守していることを立証し、注文ロットに誤りがないか確認することです。規格には企業独自のものだけでなく、JIS規格(Japanese Industrial Standards、日本産業規格)などの共通基準も含まれます。検査成績書は1ロット単位で作成され、注文した数量に誤りがないかも確認できます。これにより、製品が問題なく検品され、納品されることが明確になります。

添付のタイミング

検査成績書が添付されるタイミングは一例として、以下の通りです。

  1. 製品と同梱して納品時に送付される場合
  2. 別途郵送される場合
  3. 別途請求が必要な場合
  4. 追加料金が発生する場合

検査成績書の添付タイミングは様々です。一般的な例としては、製品と同梱して納品時に送付される場合や、別途郵送される場合、さらには別途請求が必要な場合や追加料金が発生する場合などが挙げられます。

送付タイミングは企業ごとに異なるため、お見積請求時や製品購入時に検査成績書の入手タイミングを確認することが必要です。検査成績書が必要な場合は、確実な手続きを経て手に入れるよう努めましょう。

類似書類との違い

検査成績書の必要性とは?

検査成績書以外にも、品質管理書類にはさまざまな種類が存在します。そのため、これらの書類と検査成績書との違いを正確に理解しておくことが重要です。

こちらの記事では以下の3種の書類と検査成績書の違いを見ていきます。

  1. ミルシート
  2. 試験成績書
  3. 校正証明書

1.ミルシートとの違い

検査成績書とミルシートは品質管理のための書類である点で共通していますが、それぞれが記載している詳細な内容は大きく異なります。

ミルシート(mill sheet、鋼材検査証明書)とは、鋼材を用いた製品において使用される材料や品質を保証するための書類であり、具体的には以下の情報が含まれます。

  • 鋼材製品の品質を検証するための試験結果
  • 化学成分の割合(炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄など)

※鋼材の種類によって化学成分は異なっています。

このように、検査成績書とミルシートは全く異なるものであるため、注意が必要です。

ミルシートの役割と重要性:鋼材の品質管理の鍵 - Genial Technology

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2.試験成績書との違い

検査成績書と試験成績書の主な違いは、「校正の正確性を直感的に判断できるか、データから読み取る必要があるか」という点です。

試験成績書は校正の結果と、具体的にどのような試験が実施されたかを記録する書類であり、別名データシートや成績書とも呼ばれています。試験成績書を見て校正が問題なく行われているかを判断するためには、試験や各種規格に関する知識が必要です。

一方で、検査成績書には校正データだけでなく、製品の品質が規格を遵守しているかどうかの結果も記載されているため、これ一つで製品の品質を判断することが可能です。

3.校正証明書との違い

検査成績書と校正証明書の主な違いは、「具体的な校正データが掲載されているかいないか」という点です。

校正証明書は、正確な校正が行われたことを証明する書類であり、試験に関する具体的な情報や校正データは含まれていません。したがって、試験がどのように行われたのかを確認するためには、試験成績書を参照する必要があります。一方で、検査成績書には具体的な試験内容や校正データが含まれているため、製品の品質を詳細に把握することができます。

検査成績書の内容

検査成績書の必要性とは?

検査成績書には以下のような内容が記載されています。

  • 検査実施年月日
  • 検査実施者、確認者(名前、押印)
  • 製品名、型番
  • 検査項目
  • 検査方法
  • 検査結果(単位、数値)

ただし、これはあくまで一例であり、実際に記載されている詳細な内容は企業によって異なります。
そのため、もし検査成績書に特定の内容を記載してほしい場合は、事前にその要望を伝えておくようにしましょう。
検査成績書において重要な検査項目の中で、特に注目される2つの検査について解説いたします。

1.外観検査

外観検査は製品の外観に付着する異物や汚れ、傷、バリ、欠け、変形などがないかを検査するプロセスです。この検査は主に目視で行われますが、製品によってはルーペや顕微鏡、マイクロスコープを使用することもあります。

金属加工製品における外観検査のポイントは以下の通りです。

  • ベアリング
    • サビ、腐食、線傷、へこみ、打痕、空気孔(巣)など
  • ボルト・ネジ
    • バリ、割れ、クラック、変形、寸法ズレ、異品種や未加工品の混入など
  • 溶接
    • アンダーフィル、アンダーカット、割れ、空気孔(巣)、気泡、ピット(溶接部の小さな穴やへこみ)、スパーク跡、焼け残りなど

外観検査においては「良」や「問題なし」などが検査結果として明記されます。

2.寸法検査

寸法検査は製品の寸法を測定し、測定値が公差内であることを確認します。基準寸法には、最大許容寸法と最小許容寸法が設けられており、公差内とはこれらの上限から下限内の誤差内にある寸法を指します。この検査は製品の設計段階から始まり、製品の寸法が規定に適していることを確認するための重要なプロセスです。

寸法検査の項目には寸法・基準値・公差・検査に使用した測定器などが含まれ、それぞれに測定値やデータが詳細に記載されます。

接触寸法計測と非接触寸法計測

接触寸法計測と非接触寸法計測の二つの主要な手法があります。接触寸法計測は主にノギスなどを使用し、内径・外径・長さ・高さなどを計測します。一方で、非接触寸法計測は目視できない製品や、高精度で効率的に計測する必要がある場合に用いられます。顕微鏡、投影機、画像測定器、および3次元測定器などがその代表例です。

サンプル例

こちらは企業で発行されている検査成績書の一例です。
検査成績書には校正データやどのような試験が行われたかが記載されていますが、共通のテンプレートやフォーマットは存在しません。各企業が独自のフォーマットを作成し、検査成績書を発行しています。
そのため、検査成績書を確認する際は、項目を確認しながら見るようにしましょう。

まとめ

検査成績書は製品の品質を保証する重要な品質管理書類の一つであり、その内容には検査実施年月日、検査者・確認者の情報から製品名、型番、検査項目、検査方法、そして検査結果までが含まれます。ただし、企業によって異なるフォーマットが存在し、特定の要望がある場合は事前に伝えることが重要です。

サンプル例を通じて確認できるように、検査成績書には共通のテンプレートがなく、各企業が独自の形式で発行しています。この書類を理解するためには、企業ごとのフォーマットに注意深く目を通す必要があります。

品質管理の一環として検査成績書は非常に重要であり、各種規格を満たす証明となります。しかし、添付されるタイミングは企業によって異なり、必要な場合は送付タイミングを確認することが必要です。最終的に、検査成績書は製品の品質に関する信頼性を確保し、顧客に安心感を提供するために欠かせない要素であることが理解されるべきです。