仕様書とは?種類や作成時のポイントについて解説

仕様書とは?種類や作成時のポイントについて解説

システム開発や導入プロジェクトの成功には、明確な方向性や詳細な要件などが必要です。これらをまとめたものが「仕様書」です。仕様書は、プロジェクト全体の計画、設計、テスト、セキュリティ、運用に関する情報を可視化するための重要な文書です。しかし、その作成は知識と経験が必要で、書き方に悩むこともあるでしょう。

この記事では、仕様書の概要、設計書との違い、種類、作成のポイントについて説明します。プロジェクトにおける仕様書の役割を理解し、システム開発や導入プロジェクトを円滑に進める手助けとなるでしょう。

仕様書とは

仕様書は、システム開発や導入プロジェクトにおいて不可欠な文書で、プロジェクトの計画、システムの仕様、テスト、セキュリティ、運用に関する情報が記載されています。ここでは、仕様書の目的と設計書との違いについて説明します。

仕様書の目的

仕様書の目的は次の通りです。

  1. 要件の明確化
  2. 計画と設計の指針
  3. 品質保証

仕様書の目的として、要件の明確化は非常に重要なポイントです。

要件の明確化は仕様書の主要な目的の一つであり、システム開発において要件定義と呼ばれる重要な工程です。要件定義では、システムやプロジェクトに関する要件を詳細に文書化し、関係者間で共通の理解を確立します。

要件の詳細な文書化を通じて、システムの全体像や搭載する機能を明確にし、設計と計画の指針を立てます。

また、仕様書はシステムが要件を満たし、品質が確保されることを確認する品質管理にも利用されます。このように、仕様書はシステム開発において欠かせない要素であり、異なる段階で多くの目的を果たす重要な文書です。

仕様書の種類

仕様書はプロジェクトの進行段階に応じて複数の種類が存在し、それぞれ異なる役割を果たします。
主な仕様書の種類は以下の通りです。

  1. 要求仕様書
  2. 設計仕様書
  3. 機能仕様書・詳細仕様書
  4. テスト仕様書

1.要求仕様書

要求仕様書は、プロジェクトの初期段階で作成され、システムが達成すべき要件や機能、非機能要件などを詳細に記述した文書です。

要求仕様書はプロジェクトに関与する関係者に向けて作成され、方向性の共有や要求事項の明確化だけでなく、後続の開発工程でも基盤となる役割を果たします。

2.設計仕様書

設計仕様書は、要求仕様書に基づいてシステムの設計と実装計画を提供する文書です。

具体的には、システムのアーキテクチャ、データベース設計、ユーザーインターフェースなどの詳細情報を記述します。

3.機能仕様書・詳細仕様書

機能仕様書は、システムの機能や動作を詳細に定義する文書で、開発対象のシステムの機能に焦点を当てます。

詳細仕様書は、機能仕様書に基づいてシステムの設計と実装の詳細情報を含む文書で、実際の実装方法やデータベース設計、プログラムの構造、アルゴリズムなど細部まで記述します。

4.テスト仕様書

テスト仕様書は、システムが要求事項を満たすかどうかを確認するための文書です。

その内容は、テスト戦略、テストケース、テストデータ、テスト基準など多岐にわたり、品質保証プロセスの一部としても使用されます。

仕様書の作成ポイント

仕様書はシステム開発において不可欠な文書であり、その作成にはいくつかの重要なポイントがあります。
以下に、仕様書の作成におけるポイントを紹介します

  1. 記述内容が詳細まで明確
  2. 整合性・一貫性がある
  3. 適切な形式を使用する

1.記述内容が詳細まで明確

仕様書はプロジェクトの方針を確立し、システムの要求事項を明示する文書です。そのため、記述内容は詳細まで明確に記述することが重要です。曖昧な表現や抽象的な記述を避け、要求事項や仕様を具体的に記述しましょう。また、仕様書はシステム開発の専門家だけでなく、クライアント企業の担当者や他のプロジェクト関係者にも理解しやすい形で記述する必要があります。

2.整合性・一貫性がある

仕様書内の情報や要求事項は整合性と一貫性を持つ必要があります。整合性のない情報はシステム開発の障害となり、不具合の原因にもなります。仕様書の作成者だけでなく、関係者も整合性のない箇所を注意深くチェックしましょう。矛盾がないように情報を照らし合わせ、一貫性のある仕様書を作成しましょう。

3.適切な形式を使用する

仕様書の形式やテンプレートを使用することも重要です。適切な見出しや番号付け、リストなどを使用し、読み手が内容を迅速に理解できるよう工夫しましょう。システムの実行フローを示すシーケンス図や画面の画像を挿入することで、可視化しやすくなります。また、リンクを設置して関連情報へのアクセスが容易にできるようにすることで、効率性を向上させましょう。

仕様書の記載項目

仕様書を作成する際、一般的に用いられる項目には以下のものが挙げられます。

  • 導入・目的
  • 対象・担当者
  • システム概要
  • 要求事項
  • ユースケース図
  • シーケンス図
  • 画面遷移図
  • データベース設計
  • アーキテクチャ
  • ユーザーインターフェース
  • セキュリティ要件
  • スケジュール

上記は仕様書に一般的に含まれる代表的な項目ですが、厳密なルールはなく、プロジェクトの内容や要求事項に応じて変更されることがあります。仕様書の目的は、システム開発に関する情報を明確にドキュメント化し、開発工程の資料としてだけでなく、関係者間での認識共有を図ることです。

上記の項目を参考にし、必要に応じて項目の追加や記述方法の工夫を行いましょう。

まとめ

仕様書は、システム開発や導入プロジェクトにおいて不可欠な文書であり、プロジェクトの計画やシステムの仕様、テスト、セキュリティ、運用などについて記述します。主な目的は、プロジェクトの目標や要求事項を明確に定義し、関係者間でプロジェクトの方向性と認識を共有することです。

仕様書のポイントとして、明確性と詳細性、一貫性、適切な形式の使用などが挙げられます。開発者向けの設計書とは異なり、プロジェクト関係者が理解しやすく記述する必要があります。仕様書はプロジェクトの開始時だけでなく、要求仕様書に基づいて設計仕様書やテスト仕様書など、システム開発のさまざまな工程で使用されます。仕様書はシステム開発に欠かせない文書であるため、依頼者側もその内容と目的を理解しておくことが重要です。